第60章

事実、大塚雪見はまさにそうだった。

前田南は、村上先生という経験豊富な人の前で「何でもない」と言っても信じてもらえないことを知っていた。かといって、適当な言い訳をするわけにもいかない。

彼女は言葉を慎重に選びながら、ゆっくりと口を開いた。

「村上先生、大塚雪見の間には個人的な恩讐があるんです。それに、ご存知の通り、彼女が盗作したのは、偶然にも私が以前発表したものと関連していましたから」

前田南がそう言うと、村上先生も理解を示した。

とはいえ、大塚雪見は単に代筆を頼んだだけで、彼女の大学入試の成績は偽りようがないものだった。

大塚雪見が優秀な成績を持っていたのは事実だ。

さらに、...

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